床下エアコンという選択肢

2023年1月14日

先日は全館空調の不安要素についてお送りしました。

では各部屋にエアコン設置こそ至上なのかと言えば、そうとも限らず、
第3の選択肢として「床下エアコン」という手法があります。

これは大手ハウスメーカーではあまり施工してもらえないので工務店限定になりますが、
結構ノウハウが必要な手法です。

ちなみに全館空調を導入した知人はいませんが、床下エアコンを導入した知人はいますので、
その方の感想を踏まえてご紹介します。


床下エアコンとは

通常のエアコンを床下の基礎に向けて設置(エアコン本体は室内でもOK)して、基礎内に空調した空気を流してやり、各部屋の床にガラリという空気穴を設けてそこから各部屋の空調を効かせるという手段です。

2階には効かないので2階はエアコンを別で設置するか、吹き抜けなどを通じて1階の空気を2階へ回すという手があります。

別のエアコンにするのが現実的かなと思われますが、
知人は床下エアコン+吹き抜け(シーリングファン)でなんちゃって全館空調っぽい事を実現しているので、
うまく設計すれば出来るかと思います。

床下エアコンを設置する場合、ベタ基礎であること、基礎断熱されている事は必須条件です。

床下エアコンの注意点

普通に基礎を設計すると壁ができて空気が流れないため、
基礎内をスムーズに空気が流れるようにする必要があります。

この点、工務店にはかなり設計ノウハウが必要です。
相談しても断られる工務店も多いかと思います。

家自体の高気密・高断熱は当然として、基礎断熱のレベルも重要になってきます。

床下エアコンのメリット

全館空調ほどの初期コストをかけずに、全館空調のように脱衣所やトイレの空調を効かせることが出来ます。

メンテナンスもダクトの掃除等は不要ですので、だいぶメンテナンスコストを省けます。

また、使うのは通常のエアコンなのでコスパはかなり良いです。
将来的にエアコンが進化しても置き換え出来る点も安心ですね。

あと大きなメリットは、床自体を無垢床にするとほんのり床が暖かくなる点。

床暖房ほどの効果はないですが、冬場に「足冷たいなー」と感じる事がほとんどなくなります。

実際知人の床下エアコン設置のお宅に冬に伺ってみましたが、うっすら暖かく感じました。
床暖ほどではないのですが、足元が冷えないというだけでもかなり快適。

この点は床下エアコンの大きなメリットですね。

床下エアコンのデメリット

これは全館空調のデメリットをマイルドにしたようなデメリットが挙がります。
初期コスト面はかなり改善されると思いますが、ランニングコストはかかりがちです。

あと、即応性の悪さや衛生面の不安はありそうです。

床下エアコンの心配事

基礎内を温めたり冷やしたりするので、基礎内の結露や乾燥が起きやすくなります。

基礎が割れる、カビの発生、シロアリのリスク増大などの予測不能の問題を引き起こす可能性があり、
これを否定する統計データがまだ無い事が不安な点
です。

そして基礎内を隅々まで常に清掃にしておくのはとても難しいので、カビやホコリ等を含む空気を循環させる可能性があります。

また、ノウハウのある工務店が少ないので、空気の循環、断熱確保、耐久性の保証が難しい上、
工務店の保証期間(10~20年が多いでしょうか)を経過したあと、基礎が割れるなんて事がないかは超心配です。


今どきの平均的な家だと、延床35坪前後で1階はLDKの他にトイレと脱衣所ぐらいしか冷暖房を効かせたい部屋が無いお家も多いと思います。(和室の有無が有るくらいでしょうか)

それなら脱衣所に小型のセラミックファンヒーターなどを設置するという手もあります。

あと床下エアコンが優れているのは「床が少し温かい」点で、
床暖房無しだとすると、この点をどれくらい重視するかが導入の決め手になりそうです。

しかし、大手ハウスメーカーが床下エアコンを商品化しないのは、
30年40年保証するのには未知の部分が大きいからという側面があるのではないでしょうか。

勿論ただの考え過ぎ・心配しすぎとも言えます。
チャレンジされる方は、ノウハウのある工務店に相談してみると良いと思います。