断熱材の種類について

近年の家は性能重視が叫ばれており、
耐震性がどこのハウスメーカーで建ててもおおむね安心と言われてきています。

となると、次は断熱性に着目されており、
世はまさに断熱競争時代といっても過言ではない、ような気がしています。

という事で今回は断熱材についてサラッとまとめてみました。

個人的な見解もふまえてご紹介してみようと思います。


グラスウールとロックウール

まず断熱材の代表格として広く普及しているのがグラスウールとロックウールになります。

ガラスのようなものを繊維状にして綿のようなものにしたのがグラスウール、
玄武岩等の鉱物を使ったものがロックウールになります。

ロックウールの方が重く、壁内に使うと湿気を吸ってずり落ちてくる心配があるので、
壁にはグラスウールを使うメーカーが多いようです。

価格も安く性能もまずまず良く施工の安定性が良いので、現在ハウスメーカーでは主流の断熱材です。

グラスウールでも湿気を吸って壁内でずり落ちる可能性があるため、
ハウスメーカーは各社対策をしていますので、不安な方は営業さんに固定方法を聞いてみると良いでしょう。

化学系素材(ウレタンやフェノール)

発砲ウレタンやフェノールフォーム等の化学的な物を使うのがプラスチック系断熱材になります。

性能がグラスウールなどより良いので、
特に断熱の数値にこだわる工務店などでは採用されていることが多いようです。

発泡ウレタンというと加水分解して痩せていくイメージもありますが、
その辺は問題ない素材を使用しているとの事。

床などには固形の物を敷き詰め、壁などには吹き付けて固まるタイプを使用するようです。

この吹き付けて固まるタイプというのがなかなかクセモノでして、
施工者のスキルやクオリティによってかなり差が出てしまう
部分になってしまいます。

壁内のカドの方を雑に吹き付けたり、手元の材料で施工を済ませるために一部薄く吹いたりと、
工務店ではなく下請けの大工さん次第になってしまいます。


あと、化学系なので延焼には弱く、しかも延焼時に有毒ガスを発する種類もある等のデメリットもあります。
(フェノールフォームは延焼特性が優秀のようですね)

吹き付けちゃう場合は解体時に分別が難しいのもデメリットですかね。

逆にフェノールフォームのような固形タイプは割れる等の問題もあるようです。
フェノールフォームを使うメーカーや工務店で建てる方は、
どれくらいスキマなく埋めてもらえるか確認しておくと安心かも。

性能担保が現場任せになりがち、延焼や健康被害のリスク、分別のしにくさからか、
特に吹き付け系ウレタンを大手ハウスメーカーはあんまり使いたがらない印象です。

セルロースファイバーなどの天然系

天然素材として、セルロースファイバーという、紙の繊維を集めて断熱材にする手法もあります

新聞紙や段ボール由来の素材を使って作るらしく、エコで健康被害のリスクも低減できます。

虫よけ・難燃のため、ホウ酸系の薬品を浸潤させているらしく、実は防火性にも優れているのは意外な点ですね。

施工は、現場でビニールの中に充填していくという手法で、複雑な壁内でもスキマなく埋まるようです。

調湿効果もあり、断熱性能も高いですが、コストも高いようです。

あと、紙の繊維をビニールの中に充填させるので、
ビニールが破れるとホコリまみれになり、施工品質が悪いと天井から紙の屑が落ちてくるなんてこともあるとか。

施工、地震災害時、解体の時どうなるのか、やや不安の残る手法ではあります。

まだシェアは少なく、出来る工務店も少ないです。
(私がメーカー工務店選びをしたとき、1件だけ提案してくれました)

一応、コルクや羊毛などの天然素材を使用するパターンもありますが、さらにレアでして出来る業者は極端に少なくなります。コストもさらに高いんじゃないですかねー。

断熱性能比較

各断熱材の熱伝導率は以下の通りです。値が小さいほうが高性能です。

熱伝導率 [W/(m・K)]
セルロース:0.040
ロックウール:0.035~0.047
グラスウール:0.033~0.050
ウレタン系:0.023~0.040
フェノール:0.019~0.036

こうしてみるとウレタン・フェノール系は優秀です。
単位体積あたりではグラスウールの倍近い性能。断熱にこだわるハウスメーカーが使うのもうなずけますね。

まとめ

以上、断熱材の比較でした。

よくTwitterやyoutubeなどでは
「ハウスメーカーは安いからグラスウールを使ってる、ずり落ちてくるし性能低いのに。」
という意見を見かけます。

しかし、大手メーカーは北海道仕様などでもグラスウールを使っており、
断熱性能を上げる場合は壁を厚くして、グラスウールを使う手を使っています。

性能が高い素材があるなら、同じ壁厚で断熱性能を上げられるので、
設計的にはそちらの方が楽なはず。

それでもグラスウールを使用しているのは
少なくとも吹き付けよりは施工の安定性を重視したいのでは?、と考えています。

フェノールフォームとかの固形タイプだと隙間なく施工するのが難しく、
素材の数値は優れていても家の形状によっては性能が活かせないような気もします。
(あと、大面積を一枚のフェノールフォームを割らずに隙間なくハメるのが難しそう)


ちなみにグラスウールのずり落ち対策は大手メーカーも対策しており、
湿気がたまらない工夫や落ちない工夫などをしているので、最近の家ならさほど気にしなくても良いと思います。
(粗悪な工務店は要注意)

とはいえ、フェノールフォームは特に素材性能が優秀なので、
これから施工技術が進歩していくと、普及してくるかもしれないですね~。

ちなみにミサワホームの断熱に関してはこちらをご参照ください↓